この道中、林知恵は明らかに背後から自分を見つめる二つの視線がなくなったことを感じ、全体的にずっと気が楽になった。
ジュエリー展は郊外の町にある民族文化館で開催され、百年以上の歴史を持ち、内外ともに非常に良く保存されていた。
建物の古風な雰囲気を損なわないよう、今回はレッドカーペットも敷かれず、発表会さえも皆が露天の中庭に立って行われた。
参加者は皆、寒さに震えながらも、顔には優雅な笑みを浮かべていた。
雪村真理はこれを芸術のための犠牲と冗談を言ったが、ドレスの下にいくつの使い捨てカイロが貼られているかなど誰にもわからない。
発表会が終わり、一同は暖かい館内へと移動した。
今回のテーマは文化と自然だった。
入口から様々な工夫を凝らした展示品が並んでいた。
ショーケースに固定された豪華なジュエリーの他にも、様々な形で展示されたジュエリーがあった。
グラデーションの宝石で作られた葉や花々、星の輝きの下に大きな青白いダイヤモンドの花火ネックレス、釣り糸で交差して吊るされた様々なジュエリーの蝶。
林知恵が鑑賞していると、雪村真理の声が彼女の思考を現実に引き戻した。
雪村真理は彼女と折木和秋に目の前の男性を紹介した。
「知恵、和秋、こちらが今回のジュエリー展の主催者、木村社長よ。国内外で名の知れたジュエリーデザイナーなら、ほとんど彼の知り合いなのよ」
林知恵が礼儀正しく挨拶する前に、折木和秋は肩で彼女を押しのけ、一歩前に出て木村社長の手を握った。
「はじめまして木村社長、お噂はかねがね、私は折木和秋です」
彼女は自分の名前を強調した。
木村社長はすぐに彼女の意図を理解し、笑いながら言った。「三男様の婚約者、むしろ私の方こそ噂を聞いております」
軽く手を握ると、彼はさりげなく折木和秋の手を離し、それ以上は一言も言わなかった。
折木和秋は少し固まった。
林知恵はこの機会を利用して前に出て、穏やかに微笑んだ。「こんにちは木村社長、雪村長からあなたの慧眼についてよく聞いておりました。今日お会いして、さらに感銘を受けました。先ほどは見とれてしまい、失礼いたしました」
木村社長は眉を上げて喜んだ。「お名前は?以前お会いした記憶がないようですが」
「林知恵です。最近雪村長のスタジオに入りました」