ウェディングドレス?
この二文字を聞いた時、林知恵は皮肉を感じるだけだった。
折木和秋がウェディングドレスを試着した時を含めると、これで二回目だ。
どちらも宮本深の女だ。
まるで彼女の立会いがなければ、結婚式が進行できないかのようだ。
林知恵は桑田蘭子を見た。彼女は幸せそうに、そして素朴に笑っていた。折木和秋のような計算高さはなく、真摯な招待だった。
だからこそ、林知恵は自分が悪者のように感じた。
ちょうど断る言い訳を考えていた時、スマホが震えた。
彼女は突然、不吉な予感がした。
案の定、スマホを開くと山下穂子からのメッセージだった。
「当主が三男様と桑田さんの婚約パーティーの準備を手伝うよう命じました。」
窒息感が押し寄せてきた。
山下穂子が桑田家と宮本家の怒りを買うか、無事でいられるかは、彼女の態度次第だった。