第252章 あなたはそういう下賤な女だ

林知恵は山下穂子について屋敷に入った。

道中で多くの宮本家の人々に出会ったが、山下穂子が一人一人に挨拶をしても、彼らは母娘に対して素っ気なかった。

それどころか、以前よりも冷たくなっていた。

林知恵は眉をひそめて言った。「お母さん、婚約の贈り物が取り替えられた件は解決したんじゃないの?彼らはまだあなたを困らせているの?」

「そうじゃないのよ。私が当主に家政婦の仕事を辞めたいと頼んだからよ」と山下穂子は苦笑いした。

「どうして?あなたはずっと自分を表現したいと思っていたじゃない?」林知恵は驚いた。

「知恵、婚約の件であなたに迷惑をかけてしまったわ。今は割り切れるようになったの。どうせ蘭子の立場なら、結婚したら遅かれ早かれ家政を任されるわ。彼女はいい人だし、私を困らせたりしないでしょう」