林知恵は小白脸(イケメンホスト)の腕を取りながら個室に入った。
座るやいなや、小白脸は急いで3万円ほどのボトルを注文した。
彼はクラブと提携しているようで、どれだけ酒を注文しても彼にはバックがあるのだろう。
注文する際、彼はわざと林知恵の方をちらりと見た。彼女が本当にお金を持っているかを探っているようだった。
林知恵は小白脸を見つめ、妖艶な顔で目を細め、唇を曲げた。その姿は万人を魅了するに十分だった。
「1本じゃ足りないわ。私と過ごす時間が1本分だけってこと?」
この言葉には暗示的な意味があり、口にするのは恥ずかしいことだった。
幸い個室の照明は十分に暗く、林知恵の恥ずかしさを隠してくれた。
これは雪村真理が教えてくれたことだった。
男を釣る最も早い方法は、先手を打って、彼が言おうとしていることを全部先に言ってしまうことだと。
案の定、小白脸は林知恵を見つめ、目が釘付けになり、体も彼女に少し寄せてきた。
目を伏せてからゆっくりと上げる。自分の視線が情熱的で愛情に満ちているように見せることが大切だ。
彼は低い声で言った:「そんなことあるわけないでしょう?酒がなくても、今夜は全てお嬢さんのものですよ。」
彼の泡のような声を聞いて、林知恵は思わず笑ってしまった。
それは現実で聞くキンキン声のように場違いな感じがした。
まるで彼の喉からゲップが止まらないかのようだった。
彼女が聞いたことのある低い声はこんな感じではなかった、確かに……
そう考えると、彼女の表情が硬くなり、笑顔が急速に消えた。
そのとき、小白脸は彼女の手を握り、キスしようとした。
林知恵は気づかれないように手を引き、メニューを彼の手に渡した。
「好きなものを注文して。」
「ありがとうございます、お嬢さん。素晴らしいお酒をお勧めします。きっと今夜を素晴らしいものにしてくれますよ。」小白脸は含みのある言い方をした。
林知恵は淡く微笑んだ:「あなたにお任せするわ。」
小白脸の笑みは深まり、大物を釣り上げたという自信に満ちていた。
彼のような人間は、どんなに美しい女性も見てきたのだから、本当の感情があるわけがない。
彼にとって重要なのはお金だけだ。
だから林知恵が裕福であればあるほど、彼は食いつくのだ。美貌はただのおまけに過ぎない。