第278章 私と来て

桑田蘭子は店員の手を借りてゆっくりと歩いてきた。

この瞬間、林知恵は呆然としていた。

彼女の頭の中にはたくさんの言葉が浮かんだが、最後には「妖精」という二文字だけが残った。

桑田蘭子は義足を着けているため、複雑なウェディングドレスを支えることができないことを考慮して。

そのため、デザイナーは彼女のために特別にこのドレスをデザインした。

上半身はレースのコルセットで、薄いチュールの花びらが重なり、軽やかさの中にも硬さが感じられる。

スカートは軽いチュールが重なり、裾に小さなスリットがあり、桑田蘭子が歩きやすいようになっている。

ふわりとした朦朧とした雰囲気の中、桑田蘭子の笑顔と相まって、彼女は最高のものに値すると思わせた。

桑田蘭子はハイヒールで慎重に近づき、さらに笑顔で林知恵を見た。

まるで林知恵に「きれいに見える?」と尋ねているようだった。

きれい、とても美しい。

林知恵は力強くうなずき、必死に笑顔を作った。彼女は自分が必死にもがく哀れな虫のように見えたくなかった。

桑田蘭子は勇気づけられたように、店員の手を離し、自分の足で一歩一歩宮本深に向かって歩いた。

店内は、ウェディングドレスを美しく見せるために、結婚式場のような雰囲気に装飾されていた。

桑田蘭子は幸せそうにあの男に向かって歩いていく。

それは林知恵が二度の人生でも到達できない場所だった。

彼女は後ずさり、さらに後ずさりして、この光の当たる場所から退こうとした。

そのとき、桑田蘭子の足がもつれ、体全体が宮本深に向かって倒れた。

宮本深は反射的に手を上げて防いだ。

そう、受け止めるのではなく、防いだのだ。

しかし次の瞬間、彼は手を伸ばして桑田蘭子を抱き寄せ、眉をひそめて「気をつけて」と注意した。

桑田蘭子はハイヒールを見下ろして言った。「私、初めてハイヒールを履いたの」

宮本深は彼女をしっかりと支え、少し暗い目で言った。「そこまでしなくていい」

桑田蘭子は口をとがらせた。「あなたがそんなに背が高いからよ。ハイヒールを履かないとあなたの肩にも届かないわ。結婚式の写真撮影で、カメラマンが『花嫁さん、立ってください』って言い続けるの?」

雰囲気は一気に和やかで温かいものになった。

店内の他の人たちも笑い、羨望と祝福の視線を送った。