第316章 彼らは何もできない

山田照夫は林知恵に木村悦子を引き止めておくよう頼み、自分は急いで魚を買いに行った。

ちょうど、林知恵は桑田蘭子に会いに行くところだったので、引き受けた。

いくつかのことは、やはり自分で説明した方がいい。

病室の入り口に着くと、宮本家と桑田家の人々はすでに帰っており、木村悦子と桑田剛だけが桑田蘭子の病状について話し合っていた。

彼女が来るのを見て、木村悦子は突然口を閉ざした。

林知恵は少し奇妙に感じ、尋ねようとしたところで桑田剛に話題をそらされた。

「山田照夫は一緒に来なかったの?」

「彼は……」林知恵はつま先立ちして桑田剛の耳元に近づいた。「こんな感じで……」

桑田剛はそれを聞いて非常に居心地が悪くなり、そっと木村悦子を見た。

木村悦子はすぐに不穏な気配を感じた。「二人で何をひそひそ話してるの?」