第324章 絶対に残らない

雪村真理の表情がおかしいことに気づき、林知恵は不思議そうに尋ねた。「雪村長、どうかしましたか？」

雪村真理は考え込むように言った。「以前はこのような要求はなかったはずよ。今の学校の申請要件が変わったのかもしれないわね。ちゃんと確認したの？」

「はい、一つの学校には公式メールで確認し、もう一つの学校には電話をしました」と林知恵は答えた。

雪村真理は椅子の背もたれに寄りかかり、眉を少し上げて、驚いているようだった。

「あなた、ここを離れるのをとても急いでいるみたいね。こんなに早く全部確認したなんて」

「雪村長、私はスタジオを辞めたいわけではありません。ただ早く多くのことを学びたいだけです」と林知恵は慌てて説明した。

雪村真理は笑いながら首を振った。「その言葉で自分を騙せると思う？」

林知恵は真剣な表情で言った。「雪村長、私は彼氏と一緒に行くんです。それがいいと思っています」

雪村真理は一瞬固まり、何かを理解したかのように、すぐに手を振って残りの仕事をフォローアップするよう彼女に指示した。

林知恵は承諾してオフィスを出た。

ドアを閉める時、彼女は雪村真理が携帯を取り出して何かを入力しているのを見た。

彼女は唇を噛み、雪村真理が誰に連絡しているのかよく分かっていた。

宮本深だ。

雪村真理は二日酔いで忘れてしまったかもしれないが、実は前回小さなバーで酔っぱらった時、彼女はたくさんのことを話していた。

その中の一つが、宮本深のために林知恵を監視しているということだった。

林知恵はずっと知らないふりをしていた。それは自分の仕事を失いたくなかったし、波風を立てたくなかったからだ。

今ではある意味解放された気分だった。

だから先ほどの返答は、雪村真理だけでなく、宮本深にも向けたものだった。

林知恵が自分のデスクに戻ると、葉山姫奈が彼女の研修の話をスタジオ中に広めていた。

階下のロビーを掃除するおばさんまでが彼女を見かけると「おめでとう」と言うほどだった。

林知恵はただ恥ずかしそうに何度も説明するしかなかった。まだ合格したわけではないと。しかし、みんな葉山姫奈に洗脳されたかのように、全く聞く耳を持たなかった。

その後、彼女はただ微笑むだけで、もう説明する気力もなくなっていた。

さらに二日が過ぎた。