深夜、車内。
田中慎治と木村悦子は街灯の下を歩いてくる人影を見て、アクセルを踏んでその場を離れたい衝動に駆られた。
車の外では、山田照夫が全身レザーのジャケットとパンツ姿で、ネオンの下に立ち、その優れた体型に道の両側の女の子たちが見とれて写真を撮っていた。
さらに彼は調子に乗って手を振っていた。
田中慎治の顔が半分暗くなった。
木村悦子は額に手を当てて言った。「彼を呼ぶなんて提案するんじゃなかった」
しばらくして、山田照夫は車のドアに手を置き、身をかがめて窓をノックした。
田中慎治は窓を下げ、冷たく言った。「目立たないように行動するという意味が分からないのか?」
山田照夫はニヤリと笑った。「かっこいいだろ?」
典型的な既読スルーの返事だった。
そのとき、木村悦子が前方を指さした。