第338章 ブスの真似をする道化師

独身パーティー。

林知恵は桑田剛に電話をかけ終わると、タクシーがホテルの前に停まった。

桑田蘭子は体調が優れないため、彼女の独身パーティーは、実の兄である桑田剛が自ら手配することになった。

そのため、彼は朝早くからホテルに来て準備を整えていた。

林知恵は彼に迷惑をかけたくなかったので、自分でタクシーを呼んで来た。

井上希美の忠告が頭から離れなかったため、彼女はわざと最後に到着することにした。人目を引かないようにするためだ。

ホテルに入ると、ロビーにはほとんど人がいなかったが、装飾は彼女を少し驚かせた。

ホテル本来の豪華な内装に加え、桑田蘭子の少女心を満たすために、巨大な回転木馬がロビーに設置されていた。

林知恵はただの装飾だと思っていたが、近づいてみると実際に動いており、さらに音楽まで流れていた。

しかし、それは子供っぽい童謡ではなく…結婚行進曲だった。

なかなか場に合っている。

ぼんやりしていると、ホテルのスタッフが近づいてきた。

彼は林知恵がドレスを着ているのを見て、今日のゲストだと分かり、すぐに親切に回転木馬を止めた。

「お嬢さん、桑田さんがゲストは写真を撮って、後でアルバムにするとおっしゃっていました。他の方々はもう撮影済みですが、どの馬に乗りたいですか?」

林知恵は断ろうと思ったが、ちょうど美しい白い馬が彼女の前に止まった。

彼女はそれを指さして言った。「これにします」

「いいですね。今日はこの白い馬が人気で、特に写真映えしますよ」

スタッフは林知恵の片手にレースの手袋をはめ、レースの下に包帯が見えることに気づいた。

彼は小さな踏み台を持ってきて、林知恵が乗るのを手伝った。

始動する前に、彼は親切にある場所を指さした。

「お嬢さん、あちらはドームから光が差し込んで、写真が特に綺麗に撮れますよ。今日のドレスにもよく合います」

「ありがとう」

おそらくスタッフがとても親切だったからか、林知恵は先ほどの余計な考えを忘れ、前の棒につかまりながらスマホを取り出した。

回転木馬がゆっくりと回り始め、反対側からの声がだんだん聞こえてきた。

「三男様、桑田さんもう少し近づいて…」

林知恵は声のする方を見ると、桑田蘭子が宮本深の腕を取り、木馬の横で写真を撮っているのが見えた。