第341章 彼は全て忘れた

桑田蘭子がパーティーの準備をしていた時、特に葉山姫奈に休憩室の手配を頼んでいた。

先ほど桑田蘭子は慌てふためき、渡辺青葉に連れられて別のフロアを探し回っていたため、一時的に休憩室のことを忘れていた。

今や残っているのはこの部屋だけだった。

桑田蘭子はドアの前に立ち、ルームカードを持つ手が震えていた。

背後の渡辺青葉は待ちきれず、ルームカードを奪い取り、急いでドアを開けた。

彼女は説明した。「三男様は電話にも出ないし、酔いつぶれて何か問題が起きているのではないでしょうか?人命に関わることですから、遅らせるわけにはいきません。」

カチッという音と共に、ドアが開いた。

特別で妖しい雰囲気が漂ってきて、まだ誰も部屋に入っていないのに、すでに想像を膨らませ始める人もいた。