ホテル。
宮本深は窓の外の日差しを見つめながら、無意識に指輪があった指を撫でた。
何も触れず、指輪を返したことを思い出した。
田中慎治が水と薬を差し出した。「三男様、そろそろ時間です。」
宮本深は逆光に立ち、無表情で薬を飲み込んだ。深い淵のような黒い瞳が少し細められ、冷たく鋭い。
「行こう。」
ドアを開けると、花が敷き詰められ、ロマンチックな雰囲気の中、ゆっくりとウェディングマーチが流れてきた……
一方。
林知恵と山田さんは山のお寺で精進料理を食べてから下山した。
タクシーに乗るとすぐに、二人は後部座席に疲れ果てて座り込んだ。
5分もしないうちに、山田さんはぐっすりと眠りについた。
林知恵は疲れていたが、全く眠れなかった。姿勢を変えようとした時、ポケットからお守りが座席の下に落ちた。