第350章 まるで夢のよう

時間がこの瞬間に凍りついたかのように、林知恵はぼんやりと手の中の指輪を見つめ、頭の中は真っ白になった。

男性用の指輪はずっと宮本深の手にはめられていた。彼自身が許可しない限り、桑田蘭子が指輪を外すことはできないはずだ。

だからこれは単に桑田蘭子の警告ではなく、宮本深の意思でもあった。

彼はやはり他の人を選んだのだ。

それは少しも意外なことではなかった。

林知恵は解放された。

しかし彼女の呼吸は途切れ途切れになり、無数の逆棘が心臓に刺さるようで、息ができないほど痛かった。

その様子を見て、桑田剛は表情を重くしながらそのカードを取った。「僕が確かめてくる」

「いいの」林知恵はカードを取り戻し、指輪と一緒に封筒に戻して玄関の引き出しに入れた。「彼女は悪くない」

「知恵……」