試食が終わった後、山田照夫が入ってきて、本社から人が来て会議があると言った。
彼は最近ずっと京渡市にいて、海城本社ではすでに多くの仕事が滞っていた。
林知恵は彼がこんなに忙しいのを見て、すぐに言った。「先に行って忙しい仕事をしてください。私と母は自分で帰れますから。」
桑田剛は時間を確認して言った。「何かあったら私に電話してください。」
彼が去るのを見送った後、山下穂子は満足そうに口元が緩んでいた。
「桑田社長はこんなに忙しいのに、わざわざ来てあなたとレストランを選んで試食するなんて、私の婿はほんとに素晴らしいわ。」
「お母さん、まだ結婚してないんだから、婿なんて言わないで。悪意のある人がいるかもしれないから。」
山下穂子の考えはとても浅はかで、いつも口から災いが出る。
しかし今回は林知恵の結婚に関わることなので、山下穂子はすぐに口を閉じ、むしろ慎重になった。
林知恵は微笑んで、彼女の腕を取って言った。「行きましょう、まずあなたを送ります。」
「いいえ、私は以前の同僚とアフタヌーンティーの約束があるの。あなたも一緒に来ない?どうせ暇でしょう。一日中家にいたら退屈でしょうから。」山下穂子が提案した。
「いいわ。」
二人が車に乗ると、林知恵の携帯が二回振動した。
彼女が開いて確認すると、海外の学校からのメールだった。
合格していた。
今回は雪村真理のおかげだった。彼女が海外でイベントに参加した時、特別に林知恵の作品を持っていってくれたのだ。
内部推薦のおかげで、林知恵はこの機会を得ることができた。
林知恵が喜ぶ間もなく、山下穂子が近づいて覗き込んだ。
「あなたはもう婚約するところで、すぐに結婚の準備もあるのに、どうしてまだ勉強しに行くの?」
林知恵は携帯を置いて、真剣に言った。「お母さん、結婚するからといって学び続けられないなんて誰が言ったの?私はまだ若いし、自分のキャリアが欲しいの。たとえ手が使えなくなっても、ジュエリーやファッションの分野で働けるわ。私は止まらないわ。」
「あなたは…」山下穂子は心配そうに言った。「あなたの言うことは間違ってないけど、あなたと桑田社長は元々身分が違うのよ。桑田家に嫁ぐなら、今の一番いい年齢を利用して、すぐに長男を産んで自分の地位を固めるべきよ。それから他のことを考えればいいの。」