第364章 山下穂子が逮捕される

この朝食を、宮本深は結局食べることができず、田中慎治の一本の電話で呼び出されてしまった。

出かける時、彼は玄関で林知恵を見た。

林知恵は振り向きもせず、桑田剛が持ってきた朝食を食べ続けていた。

ドアが閉まる音が聞こえるまで、彼女はようやく肩の力を抜いた。

顔を上げると、ちょうど桑田剛が自分を見ていた。

彼女は申し訳なさそうに言った:「昨夜はありがとう。」

桑田剛は淡く笑った:「実は僕はとても嬉しいよ、少なくとも君が完全に僕を信頼してくれているということだから。」

「冗談はやめて、あなたが怒るのも当然よ。」林知恵は朝食を置いた。

「じゃあ、何か言ってよ。」桑田剛は笑みを消し、手を伸ばして林知恵の手を握った。「知恵、彼のこんなやり方は好きじゃないけど、京渡市は彼の縄張りだし、大きな騒ぎは起こせない。それに彼は...蘭子の夫だし。」

夫?

林知恵の顔が少し青ざめた。

桑田剛のこの言葉が意図的な警告だったかどうかに関わらず、彼は間違っていなかった。

彼女が鍵を取り替えても、宮本深は欲しければ手に入れることができる。

以前、井上希美が彼女を殺しに来た時も、彼はすぐにビル全体を空にすることができた。

彼が欲しいものは、ほとんど手放したことがない。

林知恵は決心したように:「じゃあ、あなたはどう思う...」

「僕の家に引っ越したら?彼は僕の家の鍵は手に入らないはずだ。」桑田剛は林知恵が不快に思わないよう、冗談めかした口調で言った。

実際、林知恵もこれは悪くない方法だと思った。

しかし前提は、彼女と桑田剛が最後まで一緒にいることだった。

彼女が婚約者として桑田剛の家に住むのは、理にかなっていると言える。

しかし、彼女が子供を産むと決めた以上、桑田剛と一緒にいることは絶対にできない。

彼に不公平だ。

彼女も、自分にこれほど優しい男性を利用し続けたくなかった。

考えた末、林知恵は言い訳をした:「だめよ、私は結局宮本家から出てきたんだから、たくさんの目が私を見ている。今の私は名分も立場もないわ。」

桑田剛は林知恵を追い詰めたくなかったので、言い方を変えた:「じゃあ、僕の名義のマンションに住んだら?どうせもうすぐ婚約するんだし、つなぎとして考えてみては。」