第365章 皆騙された

警察はまだ何かを言っていたが、林知恵はまったく聞き入れていなかった。

彼女の頭の中は「ドン」という音がして、真っ白になった。

突然、警察署の入り口から慌ただしい足音が聞こえてきた。

人影が見えないうちに、怒りに満ちた声が聞こえた。

「山下穂子はどこだ!彼女を呼び出せ!」

林知恵はその声を聞いて、驚いた。

振り向くと、杉山おばさんが青ざめた顔で、髪を振り乱して人々を引き連れて駆け込んでくるのが見えた。

その中の三人は前回山下穂子とアフタヌーンティーを飲んでいたおばさんたちだった。

杉山おばさんは山下穂子を見つけられなかったので、林知恵を見るなり、まるで仇敵を見たかのように、血走った目で歯を食いしばった。

誰にも反応する隙を与えず、彼女は矢のように林知恵に向かって突進した。