第390章 天地を欺く

林知恵は宿の主人と会った後、まずは民宿に滞在したいと伝えた。

主人は以前自殺した女性に相当怯えていたようで、林知恵が一人で来たのを見て、彼女を見る目つきがとても奇妙だった。

色目を使うというわけではなく。

林知恵が彼の民宿で腐っても誰も気づかないことを恐れていたのだ。

主人はすぐに親切にも林知恵を海から離れた別の民宿に案内した。

鍵を渡す時、彼は忠告した。「あなたはまだ若くて、こんなに美しいのだから、物事を前向きに考えないと。この世には男はたくさんいるんだから。」

林知恵は自分には自殺願望がないと何度も説明したが、彼はどうしても信じなかった。

翌日、林知恵が主人と賃貸契約を結んでようやく、彼女が本当に民宿を借りに来たのだと信じた。

そして丁寧に彼女を朝食に招待した。

朝食を終えると、林知恵は観光モードに入った。

外国の時間と一致するまで待ってから、彼女は山下穂子に多くの写真を送った。

「お母さん、着いたわ。事前に出発を伝えなくてごめんなさい。飛行機で一晩よく眠れなかったから、これから時差ボケを直さないと。」

「すべて順調?」山下穂子は心配そうに尋ねた。

「とても良いわ。でもしばらく忙しくなるから、頻繁に連絡できないかも。」

写真があったおかげで、山下穂子はそれほど疑うことなく、全く疑いを持たなかった。

写真は林知恵が事前にネットで人に頼んで加工してもらったものだった。

人を欺くために、彼女は何百枚もの異なるタイプの写真を加工していた。

写真を見た時、彼女は科学技術の発展に感心した。ほとんど欠点が見えなかった。

少なくとも山下穂子を騙すには問題なかった。

実は桑田蘭子が彼女を探していなくても、彼女は桑田剛から離れるつもりだった。

宮本当主が彼女を徹底的に排除しようとした理由は、宮本深のことを除けば。

彼女が彼らと対等に扱われる資格がないと思っていたからだ。彼女と桑田剛が一緒にいることは、彼の権威に挑戦することだった。

彼女は桑田剛に迷惑をかけたくなかったし、桑田剛が彼女と桑田蘭子の間で板挟みになることも望んでいなかった。

だから一人で去ることが最良の決断だった。

桑田剛と一緒に空港に現れたのは、彼女の目くらましに過ぎなかった。

今や皆は彼女が桑田剛と一緒に国外に出たと思っている。