第392章 これにて別れよう

「これでお別れしましょう。」

宮本深はその文字を見つめ、長い間我に返れなかった。

喉が乾き、かすれた声で言った。「本当に冷酷だな。」

まるで予想していたかのように、彼の顔には感情が見えなかった。

宮本深は二通の手紙を一緒に置き、棚の中から二つのカピバラのリストバンドを取り出した。

パチンと音を立て、リストバンドが手首に巻き付いた。

彼は拳を握りしめ、その二つの文を凝視した。

「一緒になりましょう。」

「これでお別れしましょう。」

まるで前の瞬間に手に入れたものを、次の瞬間に完全に失ったかのようだった。

宮本深の顔色が徐々に青ざめ、目の奥に赤みが残り、わずかに目を伏せて、粉々になった心を隠した。

「知恵。」

「戻ってきてくれないか?」

……

三年後、海月マンション。

配達員の田中くんは荷物を一つ一つ車に積み込んだ。

「林さん、今年はネットショップの商売がいいみたいですね。」

「小さな商売よ。」林知恵は伝票にサインした。

田中くんはすぐに立ち去らず、もじもじしながら言った。「あの...あなたのお店を見たんですが、ジュエリーのオーダーメイドって、高いんですか?」

「どうしたの?」林知恵はペンのキャップを閉め、他の顧客の品物を整理した。

田中くんは頭をかきながら言った。「妻が来月出産するんです。ここの人はみんなあなたのデザインが一番すごいって言ってて、あなたの民宿の外で売ってる小物はいつも売り切れるし、私も彼女に特別なものをデザインしてもらいたいんですが、あまりにも高かったら諦めます。」

彼は林知恵の保険価格の商品を見たことがあり、保険料だけでも目を丸くするほどだった。

林知恵は彼の日焼けした顔を見て、微笑んだ。「無料でデザインしてあげるわ。材料費だけ払ってくれればいいわ。」

「ありがとうございます。今後何か運ぶものがあったら、いつでも私に言ってください。必ず...」

彼の言葉が終わらないうちに、上階から宿泊客の悲鳴が聞こえた。

「あっ!」

林知恵は耳をほじり、田中くんも慣れた様子だった。

「また新しく来た短期の宿泊客?毎日何をしているんだ?」

「創作のインスピレーションが湧かないみたい。海に飛び込まなければ、何でも大丈夫よ。」