第415章 知恵、私を信じて

もう一つのこと?

林知恵は困惑して宮本深を見た。「何のこと?」

「君と桑田剛の件は今朝早くに公表されたんだ。彼も知っているはずだ」と宮本深は言った。

「うん、彼は私に聞いてきたけど、答えなかった」

「彼は君が桑田剛の婚約者だと知っていて、私が君と星奈を連れ出したことも知っている。だから、私と君がラブホテルにいることを知っても、彼は不倫現場を押さえに行く勇気はないはずだ」宮本深は指先で森田謙の名前をテーブルの上でトントンと叩いた。「でも彼は上がっただけでなく、強引に入り込んだ」

そう言いながら、彼は携帯を取り出し、ラブホテルのフロントから送られてきたメッセージを開いた。

「お客様、あなたの予想通り、強引に入っていきました」

「強引に?」木村悦子は驚いて言った。「林知恵は彼と関係を確認していないのに、彼は何の立場で強引に入るの?不倫現場を押さえるって?桑田社長とあなたを怒らせることを恐れないの?」

これが宮本深が確認したかったことだろう。

彼が森田謙が上階に行くのを見て興味を失ったのも無理はない。

林知恵は森田謙を3年以上知っているが、彼は決して無謀な人ではない。

むしろ非常に慎重で、話し方や行動は常に礼儀正しい印象を与えていた。

町の多くの人が彼に紹介しようとしたが、彼はいつも丁寧に断っていた。

その後、みんなは林知恵と彼についての冗談を言うようになった。

しかし彼はいつも笑うだけで何も言わず、彼女を困らせるようなことも言わなかった。

林知恵はずっと彼が思いやりがあり教養のある人だと思っていた。

今考えると、彼は自分から行動を起こしたくなかっただけだ。

彼がそんなに慎重なら、どうしてホテルの部屋に強引に入るだろうか?

宮本深の怒りを恐れないのでなければ。

林知恵は森田謙の両親に会ったことがあり、彼らは典型的な小さな町の人々だった。この3年間、彼らを訪ねてくる裕福な親戚も見たことがなかった。

誰が彼の後ろ盾になれるのか?

林知恵は断言できず、顔を上げて宮本深を見た。

宮本深は注意した。「彼のこの件はそう簡単には終わらないだろう。軽率な行動は取らず、彼が次に何をするか見守ろう」

林知恵は事態が複雑になっていることを感じ、「軽率なことはしません」と答えた。

話している間に、彼女の携帯から穏やかな音楽が鳴り始めた。