宮本深は林知恵を見つめて頷いた。「渡辺青葉が森田謙の背後にいる人物だ」
再び渡辺青葉の名前を聞いて、林知恵の脳裏には女性の陰険な顔が浮かんだ。
「彼女は私がここにいることを知っているなら、星奈は...」彼女は心配そうに言った。
「彼女に星奈に近づく機会があれば、森田謙を探したりしないさ」宮本深は手を拭きながら安心させた。
林知恵は少し安堵し、去っていく森田謙を見て「警察に通報しなくて本当に大丈夫なの?」
「警察?つまらないじゃないか。これからが面白くなる」宮本深はハンカチをゴミ箱に捨てた。
林知恵は疑わしげに「彼に何ができるの?」
宮本深は注意を促した。「森田謙の母親は頭を打って半身不随になった。彼は今、渡辺青葉を脅して金を要求するか、母親の仇を討つかだ。一度決死の覚悟を決めれば、渡辺青葉は黙って損をするしかない。森田謙は今や失うものが何もないからな」