第450章 このドレスを引き裂きたい

林知恵は男と目を合わせるように強いられ、彼女の吐息にはまだ先ほどのアルコールの香りが漂い、かすかに熱を帯びていた。

「何をしているの?」

林知恵は驚いて、見なくても誰だか分かっていた。

「どう思う?」

男は低く二言だけ吐き出し、手のひらで彼女の頭を押さえながら、キスをしようとした。

林知恵は顔をそらした。「お酒を飲んだわ」

彼は掠れた声で言った。「俺は長いこと酒を飲んでいない。ちょっと味わわせてくれ、飢えを癒すために」

「んっ……」

強引で力強いキスには、かすかな不満が込められていた。押しつぶすように唇を重ね、彼女を飲み込むかのようだった。

林知恵はお酒を飲んでいたので、頭がすでに少しふらついていたが、今はさらにめまいがした。

ドレスの裾がいつめくられたのかも分からなかった。