第463章 白川お嬢様

白川お嬢様、白川若菜。

この名前を、林知恵はとうに知り尽くしていた。

ここ数年、ジュエリー業界で最も急成長した新星だ。

白川若菜は大学在学中から数々の海外デザイン賞を受賞し、卒業するとすぐに個展を開いた。

多くの有名ジュエリーブランドが彼女を引き抜こうとしたが、彼女は雪村真理の工房を選んだ。

噂によると、同窓生である雪村真理が学校訪問の際に彼女を窮地から救ったからだという。

彼女の能力は雪村真理も絶賛しており、何度も林知恵の前で彼女の名前を出していた。

しかし、林知恵が白川若菜という名前を本当に記憶したのは、雪村真理ではなく折木和秋のおかげだった。

前世で、折木和秋が最も得意げだった時、白川若菜が現れた。

わずか二ヶ月で折木和秋の最大のライバルとなった。

結果がどうなったかは、林知恵も知らない。