第485章 贈り物を待たせないで

聚会を提案したのはルームメイトの来美、直方来美だった。

かつて会社に採用されたものの、お金がなくて、もう少しで実家に帰って嫁に行くところだったルームメイトだ。

前世では、直方来美は半年で帰郷し、毎日夫からDVを受け、子供まで流産してしまった。

実際、彼女自身も不幸な人生を送っていた。

直方来美、来美は、家庭で男尊女卑が非常に強かった。

しかし彼女は長女ではなく、次女だった。

上には3歳年上の兄がいて、下には2歳年下の弟がいた。

家での彼女の立場は想像に難くない。

彼女の話によると、大学に行けたのも他人の援助のおかげだった。

当時、林知恵は直方来美が故郷に帰って同じ轍を踏むことを心配し、会社への手付金を渡した。

幸い林知恵の目に狂いはなく、半年後、彼女はお金を返した。

その後、林知恵も彼女に助けを求めたことがあった。

今では、彼女はファッション業界でもある程度の名声を得ている。

そう考えていると、他の二人のルームメイトもチャットに現れた。

「それはいいわね、ちょうどあなたたちに渡したいものがあるの」

いつも天真爛漫な双葉が何個もの絵文字を送ってきた。

大岩が「お姉さん、一日に三回も結婚準備中のステータスを投稿してるのに、何をくれるか分からないわけないでしょ?」

林知恵はそこで気づいた、双葉が最近結婚するのだと。

新郎は双葉の会社のクライアントで、二人は3年間交際し、最近結婚を決めた。

林知恵も彼女が投稿した多くの結婚準備の写真を見ていた。

以前は何を結婚祝いに贈ろうかと考えていたが、最近忙しくて忘れていた。

双葉は大笑いの絵文字を送った。

「じゃあ決まりね、明日の夜はどう?今日は夫と新居の掃除をしているから、間に合わないと思うわ」

「私は独り身だから、いつでもOKよ」と大岩が返信した。

「私も最近は比較的暇だから、知恵次第ね」と直方来美が返した。

林知恵も水を差したくなかったので、「いいわ」と返した。

……

川合マンション。

林知恵が玄関に入るとすぐに宮本深からのメッセージが届いた。

「今夜は接待があるから、待たなくていい」

「うん」

スマホを置くと、星奈が音を聞いて走ってきた。

「ママ」

林知恵は手を伸ばして彼女を抱き上げた。「今日はいい子にしてた?」