第522章 私を見ていればいい

山田照夫は小島音芽が指し示した道を通って建物の下まで車を走らせた。

車から降りると、彼はすぐに呆然とした。

「荷物を取りに送ってあげるって言ったのに。なぜビジネスホテルに連れてきたんだ?俺は変なことしないぞ」

山田照夫は車のドアに半分寄りかかり、眉を上げた。

小島音芽は上を指さした。「私はここに住んでるの」

山田照夫は一瞬戸惑った。「どういう意味だ?」

「家がないの」

彼女の家は3LDKで、両親は主寝室、妹は一部屋、それに書斎がある。

彼女はどこで寝るのだろう?

山田照夫は小島音芽が冗談を言っていると思っていた。

部屋のドアを開けるまでは。中には長期間の生活感が漂っていた。

「本当にここに住んでるのか?」

「そうじゃなきゃ何?月額1500元の月極め料金で、京渡市でこんな交通の便がよくて安い部屋がどこにあるっていうの?」