第527章 木村悦子が捕まる

現場に駆けつけた時、林知恵と宮本深は警察車両とすれ違った。

彼女は狭山一美の前に急いで歩み寄った。「どうしたの?なぜ警察車が行ってしまったの?」

「私が行かせたんだ」

桑田剛が車の反対側から出てきて、その後ろには山田照夫と田中慎治が続いていた。

林知恵は理解できずに彼らを見つめた。

田中慎治が前に出て説明した。「調べたけど、この道の監視カメラはハッキングされていて、木村悦子が誰かに連れ去られたという証拠がないんだ」

「狭山一美が証明できるわ」林知恵は傍らの狭山一美を指さした。

「彼女はアルコール濃度が基準値を超えていて、警察の質問にも答えられなかった。あと少しで飲酒運転と思われるところだった」田中慎治は無奈に言った。

狭山一美は首を振った。「お酒は飲んだけど、答えられなかったんじゃなくて、怖くて…」