第530章 信頼

牛乳を飲んだせいかどうかはわからない。

林知恵は深く眠り、とても疲れていると感じた。

彼女はまた悪夢を見始めたからだ。

夢の中では以前と同じように、彼女は見えない霧の中をずっと歩き続けていた。

どれくらい歩いたかわからないが、彼女は再びアーチ橋の前に辿り着いた。

予想通りなら、この橋を渡れば宮本深に会えるはずだ。

宮本深のことを思うと、彼女は思わず足を速めた。

階段を上っていくと、空から突然雪が降り始めた。

あっという間に、地面は厚い雪に覆われた。

彼女が慎重に雪を踏むと、キシキシという音がして、どこか懐かしい感覚があった。

京渡市の冬の雪だ。

突然、橋の向こう側から男性の声が聞こえてきた。

「お願いします!」

「お願いします!」

宮本深の声だった。

彼の低い声は吹雪の中でかすかに聞こえた。