牛乳を飲んだせいかどうかはわからない。
林知恵は深く眠り、とても疲れていると感じた。
彼女はまた悪夢を見始めたからだ。
夢の中では以前と同じように、彼女は見えない霧の中をずっと歩き続けていた。
どれくらい歩いたかわからないが、彼女は再びアーチ橋の前に辿り着いた。
予想通りなら、この橋を渡れば宮本深に会えるはずだ。
宮本深のことを思うと、彼女は思わず足を速めた。
階段を上っていくと、空から突然雪が降り始めた。
あっという間に、地面は厚い雪に覆われた。
彼女が慎重に雪を踏むと、キシキシという音がして、どこか懐かしい感覚があった。
京渡市の冬の雪だ。
突然、橋の向こう側から男性の声が聞こえてきた。
「お願いします!」
「お願いします!」
宮本深の声だった。
彼の低い声は吹雪の中でかすかに聞こえた。