田中慎治は急いで前に進み、山田照夫を支えて立ち上がらせた。
「木村悦子。」
「はいはい、来ました。」木村悦子は急いで手伝いに行き、ついでに山田照夫の体を調べて、眉をひそめて言った。「病院へ行きましょう、内臓に傷があります。」
山田照夫は意識を保ちながら、木村悦子を見た。「痩せたな、お前が俺を騙したのは当然だ。」
木村悦子は彼の呼吸を整えてあげた。「ご先祖様、血を吐きながら話すのはやめてください、気味が悪いです。」
「俺はお前という友達が眠れないか食べられないかと心配してたのに、俺が気味悪いって?人間性あるのか!」
「感動しました、元気になったら、ご飯おごりますよ。十回も!」木村悦子は彼を支えながら約束した。
「それならまあいいか。」山田照夫は頭を回して田中慎治を見て、拭いた刀を彼に返した。「はい、あとでまた俺を嫌うなよ。」
田中慎治は眉をひそめた。「そんなことはない。」
嫌っていたら、入る前に自分の刀を彼に渡したりしない。
宮本深以外、木村悦子も彼の刀に触れたことがなかった。
林知恵は宮本深のハンカチを取り出して、山田照夫の血を拭いてあげた。
「どうしてまだ血を吐いているの?」
「林さん、うちの若旦那を逃したのは、あなたの損失ですよ。」
山田照夫は口いっぱいに血の付いた歯を見せながら、まだ笑っていた。
「まずい、もう妄言を言い始めた、早く病院へ行こう。」
木村悦子はハンカチを奪って山田照夫の口を塞いだ。
ボディーガードに殺されずに、先に宮本深に殺されるところだった。
林知恵は急いで言った。「狭山一美に電話して、彼女に下で待っていてもらいます、彼女は運転が上手いから。」
「早く早く早く……」
木村悦子と田中慎治は山田照夫を支えて歩き出した。
宮本深と桑田剛が走ってきてエレベーターのドアを押さえた。
階下に着くと、木村悦子と田中慎治は山田照夫を連れて狭山一美の車に乗り、先に出発した。
林知恵が宮本深と一緒に桑田剛の車に乗ろうとしたとき、突然背後から声が聞こえた。
「林知恵!なぜあなたはまだ元気に生きているの!私は人間でも幽霊でもない状態なのに!殺してやる!」
葉山姫奈だった。
彼女は警察の手から逃げ出しただけでなく、手にはデザートフォークまで持っていた。