第562章 白川若菜に感謝する

宮本深の一言はとても良かったが、林知恵は顔が火照り、特に穴があったら入りたいと思った。

しかし、ちょうど視界の端に田中慎治が入った。

田中慎治はさっきからずっと横に立って黙っていた。

林知恵はすぐに尋ねた。「田中アシスタント、体の怪我が痛むの?」

「いいえ」

田中慎治は我に返り、宮本深が来ていることに気づき、彼に軽く頷いた。

「三男様」

「怪我は良くなった?」宮本深は尋ねた。

「小さな傷です」田中慎治の顔色はあまり良くなかった。

「しばらくゆっくり休んで」

宮本深は彼が無理をしていることを知っていたが、それを指摘せず、手術室を一瞥した。

皆もそれに倣って見やると、やっと和らいだ雰囲気が一瞬で消え去った。

山田照夫が出てこない限り、話題を変えても何かが足りないように感じた。

どれくらい待ったか分からないが、桑田剛が一束の報告書を持って戻ってきた。

皆が状況を尋ねる前に、手術室のライトがついに消えた。

医師が出てくるとすぐに、木村悦子の前に直行した。

「木村先生、あなたの友人は大丈夫です」

これを聞いて、全員がほっと息をついた。

しばらくして、山田照夫は病室に運ばれた。

皆は病室で彼が目覚めるのを待った。

待っている間、誰かがノックして入ってきた。

井上希美と宮本石彦だった。

宮本石彦は急いで林知恵の前に歩み寄り、彼女を見回して言った。「知恵、大丈夫?希美から聞いたけど、階下で葉山姫奈に刺されそうになったって」

「私は大丈夫よ、怪我をしたのは白川若菜よ」

林知恵は経緯を繰り返した。

宮本石彦は眉をひそめ、何も言わなかったが、明らかにこんな偶然を信じていなかった。

そのとき、井上希美はテーブルに歩み寄り、パソコンを開いた。

「私はこの件で来たの。悪いニュースと良いニュースがあるわ」

「どんな悪いニュースと良いニュース?」林知恵は尋ねた。

井上希美は皆を見て言った。「悪いニュースは監視カメラに異常がないこと、良いニュースはあまりにも正常すぎることよ」

「……」

林知恵は一瞬彼女の意味が理解できなかった。

井上希美も時間を無駄にしたくなかったので、直接パソコンの監視映像を再生した。

皆が近づいてきた。

映像の中で、白川若菜は携帯を見た後、珍しく困惑した表情を浮かべていた。