「有栖川さん、お目覚めですか?」執事は有栖川涼が階段を降りてくるのを見て、すぐに手の作業を止めた。
有栖川涼は何も言わず、軽く頷いて、ダイニングルームへ向かった。
執事はついていき、有栖川涼が座ると、すぐに常盤燿子の言った通りに、まず温かい蜂蜜茶を出し、それから台所へ行き、常盤燿子が煮込んだお粥を一杯よそった。
有栖川涼は蜂蜜茶を半分以上飲み終えてから、カップを置き、片手でお粥を自分の前に引き寄せ、スプーンでかき混ぜてから一口すくって口に入れた。
長時間煮込まれたお粥は、香り高く滑らかだった。
口に入れた瞬間、有栖川涼の眉間が少し動き、そして二口目をすくって口元へ運んだ。
一杯のお粥はすぐに底が見えた。
傍らで待っていた執事は気を利かせて尋ねた。「有栖川さん、もう一杯いかがですか?」