第102章 目が本当に人を惹きつける(2)

陸田透真が手早く閉めかけたドアは、まだきちんと閉まっていないうちに、また押し開けられた。

有栖川涼は陸田透真が戻ってきたのだと思い、ドアの方を見もせずに、直接口を開いた。「陸田透真、いい加減にしろよ?」

ドアを押した人は彼に驚かされ、ドアを半分まで押したところで動きを止めた。約2分後、外から慎重に頭を覗かせた。「有栖川さん、私です。」

有栖川涼は運転手の大和くんの声を聞いて、表情が少し固まった。

大和くんはまた口を開いた。「有栖川さん、お願いされたお粥を買ってきました。」

有栖川涼はようやく振り向き、大和くんが手に持っている持ち帰り袋を一瞥し、唇を引き締め、顎でテーブルを指し示したが、何も言わなかった。

大和くんは有栖川涼のその動作の意味を理解していた。彼はドアを押し開け、そっと部屋に入る際、まだドア口にあった枕も拾い上げて持ち込んだ。