第139章 謎の手紙(9)

「うん。」有栖川涼は返事をした後、少し間を置いて言った。「田中屋に行こう。」

田中屋?あの東京で有名な老舗の隠れ家的料理店?でも、なぜ大和くんに送ってもらわないのだろう?

常盤燿子は驚いて有栖川涼を見つめ、心の中に大胆な考えが浮かんできた。

もしかして彼のあの数文字の意味は……常盤燿子は一瞬固まってから、考え続けた……まさか彼は彼女と一緒に田中屋で夕食を食べようとしているのではないだろうか?

その考えが形になるやいなや、常盤燿子は激しく頭を振り、考えるまでもなく心の中でその可能性を否定した。

有栖川涼は彼女をあんなに嫌っているのに、どうして彼女と一緒に夕食を食べるだろうか?きっと彼は田中屋で約束があって、大和くんがちょうど何か急用ができて、一時的に行かなければならなくなり、彼が彼女を見かけたので、ついでに彼女に送らせることにしたのだろう……