第172章 彼女に触れてみろ(2)

「警察に通報だって!一晩帰ってこなかっただけじゃないか?あんなに大人なのに、外で死ぬわけないだろう?」有栖川涼はちょうど飾り棚の前を通りかかり、そこに置かれていた陶器に目もくれずに手を伸ばし、掴むとそれを床に叩きつけた。「ガシャン」という大きな音とともに、彼はまた怒りに満ちた声で叫んだ。「誰も彼女を探すな、出て行ったなら二度と戻ってくるな。お前は後で上に行って、彼女の荷物をまとめて、全部玄関の外に放り出せ!」

言い終わると、有栖川涼は歯ぎしりしながら腰に手を当て、リビングを二周ほど回った後、玄関へ向かった。ドアを開け、外に出ようとした瞬間、何かを思い出したように、家の中にいる管理人に向かって苛立ちながらもう一度叫んだ。「それから、家のドアの暗証番号も変えろ!」