第182章 あの日、ありがとう（2）

常盤燿子は傍らで、彼が収納ボックスに入れた手をしばらく見つめていた。そして手を伸ばし、中を少し探って、ライターを取り出し、彼に渡した。

彼は一瞬驚いたが、受け取った。ライターを手に、口にくわえたタバコに火をつけようとした瞬間、先日彼女が彼の車に座っていた時、彼がタバコを吸って彼女が軽く咳き込んだ場面を思い出し、突然動きを止めた。

女は本当に面倒だな……有栖川涼は心の中でつぶやき、歯の間にくわえていたタバコを収納ボックスに吐き出し、ついでにライターも適当に投げ入れると、再び前方をまっすぐ見つめた。

有栖川涼の冷静さに比べ、常盤燿子の視線は時々彼の肩の傷に向けられていた。

鮮血がまだ滲み出ており、シャツはすでに血で濡れ、車内は血の匂いが漂っていた。

何度も見た後、常盤燿子はついに我慢できず、軽く唇を動かし、車内の静けさを破った。「やっぱり病院に行きましょうか？」