第195章 目が少し似ている(5)

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会社に来ていない日が十日近くになり、多くの会議や顧客との面会が積み重なっていた。有栖川涼は朝から午後まで、水を飲む時間さえないほど忙しかった。

ようやく時間ができたのは、午後4時になってからだった。

昨夜はほとんど眠れなかった彼は、頭痛がして、オフィスチェアに寄りかかり、眉間をさすっていた。休憩を始めてほんの少しの間、机の上の携帯電話が鳴り始めた。

彼は動きを止め、横を向いて時間を確認した。陸田透真からの電話だった。彼は表情を変えずに画面をスライドさせ、電話に出た。

「涼さん?明朝、柊木誠一が大阪に戻る飛行機があるんだけど、今夜食事でもどう?」

有栖川涼はパソコンのタッチパッドをクリックして、スケジュールを確認した。これから特に重要な予定はなかったので、「いいよ」と答えた。