「琴乃、私もあなたに会いたかったわ。考えてみれば、私たち随分と会っていなかったわね。さあ、見せて...」常盤燿子は上杉琴乃の腕をつかみ、彼女を自分の体から少し引き離し、目に笑みを浮かべながら彼女の顔を見た。上杉琴乃はショートヘアにしていて、以前よりもずっとキリッとした印象になっていた。
「何年も会ってなかったわね!」上杉琴乃は常盤燿子の顔を両手で包み、しばらくじっと見つめた。「でもあなたは昔のままね、より美しくなっただけで、大きな変化はないわ」
最初、上杉琴乃が大学に行った頃は、冬休みや夏休みに東京に帰ると、常盤燿子と上杉琴乃はまだ会っていた。
その後、上杉琴乃は大学を卒業し、柊木誠一の大阪での仕事が安定していたため、夫に従って大阪で仕事を見つけた。そして仕事が忙しくなり、ほとんど東京に帰らなくなった。一方、常盤燿子は父親の件で、大阪に行く余裕な時間もお金もなかった。