第216章 彼の一日一日の変化（6）

有栖川涼は眉間を少し動かし、視線を客間にさりげなく素早く巡らせ、最後に床から天井までの窓の前の角にある小さな丸いソファで彼女を見つけた。

彼女は全員に背を向け、携帯を手に静かに座っていた。

部屋中の賑やかな喧騒は、彼女とは無関係であるかのように、どれほど大きな驚きの声が上がっても、彼女の視線は携帯から少しも離れることはなかった。

彼女の姿勢はとても静かで、時折携帯の画面をタップする以外に余計な動きはなく、水を飲む時でさえ、そばのコップを静かに持ち上げ静かに置き、少しでも音を立てないように気を遣っているようだった。

有栖川涼には分かった、彼女は意図的に存在感を最小限に抑え、皆に自分の存在を忘れさせようとしていることが。

彼がトランプを始める前は、彼女はまだ楽しそうに人と話していたはずだ。いつ一人で離れたのだろう？