第215章 彼の一日一日の変化(5)

有栖川涼が十回ほど勝った頃、彼の右側に座っていた大和社長の携帯電話がピンポンと一度鳴った。

メッセージが届いたのだ。大和社長は牌を触りながら、携帯を手に取って一瞥し、それから頭を振りながら、諦めた表情で携帯を卓上に戻した。「妻がサブカードで買い物をした通知だ」

言い終わるや否や、大和社長の携帯がまたピンポンと鳴った。今回は画面をちらりと見ただけで、銀行からのメッセージだと分かると、携帯を手に取ることもなく、しばらく牌を研究してから一枚を捨てた。そんな風に1分もしないうちに、彼の携帯はピンポンピンポンと連続して何度も鳴った。

大和社長の向かいに座っている杉山社長は、この様子を見て思わず笑いながら口を開いた。「大和社長、奥さんはあなたのサブカードで爆買いしているようですね?」