続いて「日」という字が現れた。おそらく筆画が簡単なため、この字は前の字に比べて速く打ち出され、比較的認識しやすかった。
有栖川涼はここまで見て、あの男が「和泉沙羅」に打とうとしていたのは「誕生日おめでとう」だと推測した。
しかし、あの男が後の「おめでとう」という字を打とうとした時、銃を抱えてもたもたと長い間悩んだ末、やっと何とか縦の心偏と、歪んでほとんど認識できない奇妙な符号を打ち出すのがやっとだった。
閉園時間がどんどん近づき、屋台の主人が急かし始めた。男は焦って、元々正確ではなかった射撃の腕前がますます乱れ、最後には文字を打つどころか、風船一つも当てることができなかった。
「和泉沙羅」は少しも気にする様子もなく、男の腕から銃を取り、屋台の主人に渡し、申し訳なさそうに「すみません」のような言葉を言ってから、男の腕を引いて遊園地の出口へ向かった。