第244章 後宮で寵愛を争う妃(4)

一瞬のうちに、射的の屋台では、銃声と風船の破裂音の他に、時折有栖川涼が口を開く声だけが聞こえてきた。「猫」、「イルカ」、「ドナルドダック」……

有栖川涼が絶え間なく射撃を続ける一方で、屋台の主人はより忙しそうだった。彼は数を数えたり、ぬいぐるみを取ったりと、屋台、展示台、常盤燿子の間を行ったり来たりしていた。最初、屋台の主人はとても興奮していたが、最後には内心驚きながらも財布が痛む思いをしていた。

これは一体どんな男なのだろう。さっきただ動物の交換数字を一瞥しただけなのに、全く間違えずに全部覚えていて、しかも撃ち始めてから今まで、ほとんど一発も外していない!

この商売をしている者なら誰でも知っているが、銃は多かれ少なかれ何か問題があるものだ。そうでなければ、あんなに簡単に当たってしまったら、ぬいぐるみをあげるだけで破産してしまうじゃないか?