それに、トラブルメーカーは彼のそばで既に多くの辛い思いをしている。彼女がこれ以上辛い思いをするのを、どうして見過ごせるだろうか?
だから、おじいさんが言ったように、彼がすべきことがある。
例えば、プロポーズ。
例えば、告白。
そして、一生を共に過ごすこと。
トラブルメーカーとの未来を思い描いた有栖川涼は、なぜか心が軽くなった。窓の外の赤く染まり始めた太陽を見つめながら、思わず口元を緩めて微笑んだ。そして、しばらく窓の外の景色を楽しんでから、デスクに戻った。
有栖川涼はパソコンを閉じる時、画面下部の時間を見た。5時10分、もう帰宅の時間だ。トラブルメーカーは今、仕事を終えて帰る準備ができているだろうか?
有栖川涼はパソコンを閉じ、車のキーを手に取り、オフィスを出る前に携帯を取り出して「和泉沙羅」にメッセージを送った:「終わった?」