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陸田透真が有栖川涼からの電話を受けたとき、ちょうど商談を終えて、解散しようとしていたところだった。
彼がいた場所は、偶然にも有栖川涼が言っていたショッピングモールのすぐ近くだった。会計を済ませ、車で10分も走らないうちに到着した。
車を停めると、陸田透真はエレベーターで1階に上がった。彼はスマホを取り出し、有栖川涼に電話をかけて具体的な場所を聞こうとしたとき、目の前の明るいガラス越しに、中のソファに座っている有栖川涼の姿が見えた。
陸田透真はスマホの画面ロックを解除する動きを一瞬止め、有栖川涼がいる店のロゴを見た。彼は三度まばたきをして、自分が見間違えていないことを確認した。それは確かにダイヤモンドリングを売る店だった。
そのブランドは彼も知っていた。ダイヤモンドリングの中の高級品…有栖川涼が急いで彼を呼んだのは、ダイヤモンドリング選びに付き合わせるためだったのか?