第347章 有栖川涼、私は常盤燿子(7)

あれ?なぜもう一人の和泉沙羅が?

彼女はスーパーで買い物をしていたんじゃなかった?

この疑問が菅野千恵の頭の中で形になる前に、彼女は突然気づいた。今彼女が見ているこの和泉沙羅が着ている服は、さっき美容院で会ったときと同じ服装だということに。

スーパーで和泉沙羅に会ってから今までたった5分しか経っていないのに、この短い5分の間に、どうやって別の服装に着替えることができたのだろう?

車は菅野千恵の兄である菅野蒼一によって発進し、ゆっくりと前に進み始めた。菅野千恵は突然声を上げた:「止めて!」

菅野蒼一は彼女にびっくりして、ブレーキを強く踏んだ。菅野千恵が大騒ぎするなと叱る前に、彼女は窓を下げ、頭を出して、車の後ろにあるJMショッピングモールの入口を見た。

和泉沙羅の隣には高橋静香がいて、二人はほとんど会話せず、一人が前、もう一人が後ろという形で、足早に路肩に停まっている赤いアウディに向かって歩いていた。