第353章 ただ始まりを願い、終わりはない(3)

機嫌の良い気分が邪魔され、有栖川涼は少し不機嫌になり、端正な眉間を少しだけ寄せ、床から天井までの窓の前に立ったまま動かなかった。

携帯電話の「ピンポン」という音がすべて止み、オフィスが再び静寂に包まれると、有栖川涼はようやく振り向き、ゆっくりと歩いて執務机の前に移動した。

彼は一方で机の上の少し冷めたコーヒーを手に取り、口元にゆっくりと運びながら味わい、もう一方で携帯電話を取り、画面を一瞥した。WeChatの通知メッセージだった。

柊木誠一からのものだった。

開くと、目に入ったのは一連の音声メッセージだった。涼は何気なく最初のものをタップすると、柊木誠一の声が携帯から流れ出た。彼の判断ミスなのか、柊木誠一の口調はやや不安げだった。

「涼さん、ある件について、どう伝えればいいのか分からないんですが、あなたに関することなので、考えた末、やはり伝えるべきだと思いました。これは菅野蒼一の妹、菅野千恵がさっき私に送ってきた動画です。まずご覧ください。」