第357章 ただ始まりを願い、終わりはない（7）

彼はタバコを吸う動作を少し止め、それから目を伏せ、自虐的にまた激しく吸い始めた。

有栖川涼は自分が一体どれだけのタバコを吸ったのか分からなかった。ただオフィスにあったタバコをすべて吸い尽くしたことだけは分かっていた。気づいた時には、足元には長さの異なるタバコの吸い殻と灰が厚く積もっていた。

いつの間にか空は暗くなっていた。今夜の天気は素晴らしく、空に浮かぶ満月は澄んだ光を放ち、街の無数の灯りが、点いたり、瞬いたりしていた。

美しく壮麗で、きらびやかな都会の夜景よ。

彼はこんな素晴らしい夜に、彼女に告白し、プロポーズするつもりだった。

彼が丹念に準備したサプライズと、この目を奪うような景色が合わさったら、きっと心を揺さぶる忘れられない一幕になったはずだ。しかし……