第356章 ただ始まりを願い、終わりはない（6）

スマホの画面はひどく割れていて、指先で触れると細かな痛みを感じた。

有栖川涼はまるで何も感じないかのように、画面を一つ一つタップし、6桁のパスワードを入力して、再びWeChatを開き、柊木誠一から送られてきた動画をもう一度クリックした。

彼はすでに一度見ていたが、最初に見たときよりもさらに真剣に集中していた。

彼は何度も何度も見続け、オフィス全体に和泉沙羅の言葉が響き渡っていた。

やがて、スマホの画面を見なくても、目を閉じるだけで動画の中の彼女がこの先どんな動作をし、どんな表情で、どんな言葉を発するのか想像できるようになった。

彼は自分が何回見たのかもわからなかった。スマホのバッテリーが切れて自動的に電源が落ちても、彼の耳には魔法にかけられたかのように、まだ彼女の声が響いていた。