第375章 草むらの指輪(5)

「相変わらず涼さんのことなんだけど、前回よりもっと深刻なことで、どこから話せばいいのか分からないの。涼さんの家に住んでいるあの沙羅さん、どうやら本物の沙羅さんじゃないみたい。だって、彼女の耳の後ろに傷跡がないの。」

彼女は一晩中考えて、ようやく本物の和泉沙羅の左耳の後ろに気づきにくい小さな傷跡があることを思い出した。

その小さな傷跡を知っているのは、幼い頃、彼女と和泉沙羅が喧嘩して、彼女を押し倒したとき、小石で傷ついたからだった。

しかし、有栖川涼の家にいるあの女性は、和泉沙羅とほぼ同じ顔をしているのに、彼女の耳の後ろは白く清潔で、怪我をした形跡は全くなかった。

だから、本物の和泉沙羅は高橋静香と一緒にいて、彼女たちは偽物の和泉沙羅を有栖川涼の家に住まわせている...もし有栖川涼がこのように巧妙に騙されていることを知ったら...