第374章 草むらの指輪（4）

和泉沙羅はいつも菅野千恵と相性が悪く、常盤燿子の直感が告げていた、事態はこんなに単純ではないと。

しかし、今の彼女は菅野千恵が何を企んでいるのか分からず、一歩ずつ様子を見るしかなかった。彼女は白湯を持ち、ゆっくりと一口飲んでから、菅野千恵に穏やかな表情で「ありがとう」と言った。

「どういたしまして...」菅野千恵は言い終わると、何か重要なことを思い出したかのように、手に持っていたお茶をテーブルに置き、隣のバッグを取り、中から何かを探し、精巧な箱を取り出した。「沙羅さん、忘れるところだった、これは兄が沙羅さんにお土産として持ち帰ったプレゼントなの...」

そう言いながら、菅野千恵は箱を開けた。「ネックレスよ、とても綺麗ね、シャネルの最新作なのよ...」

菅野千恵はネックレスを取り出し、目の前で二度ほど眺めてから、常盤燿子の方を向いて友好的な笑顔で言った。「沙羅さん、試着させてあげるわ...」