靴を履き替え、家を出ると、有栖川涼は階段に立ち尽くし、裏庭の花々に魅了されたかのようだった。
彼は昨日の午後に思い描いた素晴らしい夢のようなシーン、花火、ライト、彼女が好きな「終点」のオリジナル歌手のことを思い出した。
彼は本当に心を動かされていたからこそ、あれほど心を込めたのだ。
有栖川涼の鼻先が酸っぱく感じ始め、彼は急いで視線を戻し、足早に車に向かい、ドアを開けて座った。
何かを恐れているかのように、彼は素早く車を発進させ、向きを変え、別荘から走り去った。
道路は車で行き交い、非常に混雑していた。
有栖川涼は会社にも行きたくなかったし、友人を訪ねることもしたくなかった。彼は車の流れに身を任せ、速くなったり遅くなったりしながら30分ほど運転し、最後にフォーシーズンホテルの入り口に停車した。