第371章 草むらの指輪(1)

「千恵さん、あなたの要望通り、二人を派遣しました。一人は涼さんの別荘を見張り、もう一人は高橋静香の家を見張っています。ちょうど今、その二人から連絡がありました。」

「写真の右下には撮影時間が記録されています。どちらも今夜の11時30分に撮影されたもので、時間差はわずか数分です。」

スマホから聞こえる音声とともに、菅野千恵は送られてきた2枚の写真を見た。

1枚目は車の中で、背景は雅荷マンション。高橋静香が運転し、和泉沙羅が助手席に座っていた。

2枚目は有栖川涼の別荘の入り口で、和泉沙羅がゴミ袋を持ってゴミ箱に捨てているところだった。

1枚目の和泉沙羅は、精巧なメイクをしていた。

2枚目の和泉沙羅もメイクをしていたが、少し崩れていて、髪も少し乱れ、適当に後ろで結んでいた。

相手が言ったように、2枚の写真の撮影時間は3分しか違わなかった。