車内は再び静かになり、夜の道路は非常に順調で、わずか30分ほどで成田国際空港に到着した。
セキュリティチェック、搭乗、飛行機の離陸、大阪国際空港に着陸したときには、すでに午前1時を回っていた。
事前に連絡を受けていた大阪支部から、空港で待機していた人が迎えに来ていた。
車に乗り込むと、有栖川涼の新しい携帯電話が鳴り始めた。彼は電話を取り出し、着信表示に「トラブルメーカー」という三文字を見た瞬間、表情が急に凍りついた。
助手席に座っていた大和くんは、有栖川涼の携帯電話が鳴り続けているのを見て、彼が気づいていないと思い、声をかけた。「有栖川社長、お電話が鳴っていますよ。」
有栖川涼は反応しなかった。
大和くんは不思議に思って振り返り、有栖川涼を見た。男は携帯の画面を見つめ、何を考えているのか分からなかった。彼がこの電話に出ないだろうと思った矢先、彼の指先が軽く画面をスライドさせ、耳に当てた。