第391章 それは深愛、好きではない（1）

常盤燿子は有栖川涼が自分に何を言いたいのか気になったが、飛行機に乗り遅れるのを恐れ、少し躊躇した後、聞こうとしていた言葉を飲み込み、静かに言った。「わかった。」

少し間を置いて、常盤燿子はまた言った。「偶然ね、私も話したいことがあるの。」

「ん？」有栖川涼の問い返す声が聞こえたとき、常盤燿子は再び口を開いた。「それも私が着いてから話しましょう。」

電話の向こうの有栖川涼は少し間を置いて、「わかった」と返事をした。

数秒後、彼は三度彼女の名前を呼んだ。「トラブルメーカー、君は...」

彼はそこで言葉を切り、続けなかった。

約1分ほど経ってから、先ほどの言葉を続けるように、ゆっくりと言った。「...気をつけて。」

直感的に常盤燿子は、有栖川涼が言いたかったのはこの四文字ではないと感じた。しかし電話越しでは彼の表情を見ることができず、彼の心を推し量ることもできない。心の中で疑問が渦巻いていたが、どうせ彼に会えばわかると思い、小さな声で答えた。「わかったわ、じゃあね。」